庭先のスイセンが教えてくれること。
鮮やかな黄色のフクジュソウの花も盛期を過ぎ、庭先のスイセンが若い葉身を伸ばし始めたら、今年も春本番になった証拠。”春一番”のような強風が吹き荒れた日の翌日、川へ調査に行ってきました。
コンビニで買い物して現場についたのは12時頃でした。そこから約3時間。自分の慣らし運転も兼ねてゆっくり釣り上がりました。
最近の私といえば、大型をねらっているわけでも数釣りがしたいわけでもありません。あるとすれば「その時の自然に合わせた効果的な釣り」がメインテーマ。で、あとはその結果があるだけ。ライズがなければ水面下の釣り、意欲的なマスのライズがあればドライフライの釣り、のような感じで、その日その時々の自然に合わせてフレキシブルに、”引き出し”をすべて使いながら、できるだけ効果的にエキサイティングに釣るのが好き。大きいのは、釣れたらラッキーっていう程度。
「サイズは時の運だよな」。芦ノ湖の貸しボート店の名手・野崎さんもよくそう言ってらっしゃったっけ。
マイブームは"ミニマリスト"。
昨今の自分のマス釣りにテーマがあるとすれば、その一つが”ミニマルであること”です。持ち歩く道具は最小限に、どんな状況やどんな釣りにも対応したいんですね。まぁー、だからロッドもリールも一つ(1本)で多用途・多目的に機能するものにしか興味がない(笑。もう、徹頭徹尾バーサタイル路線。カセットリールもそのあらわれです。
これでも昔は、”着せ替え遊び”にハマってたんですけどね〜。あのロッドにこのリールをつけて的な。私もふつうに男子ですから。でも、その遊び方も30年やってなんだか飽きちゃった。十勝に移住してリアルな自然とマスがいつも目の前にあるようになったから、でしょうか。
さて、そんなミニマリスト気取りの私がこの日水辺に持ち込んだのは、ロッド1本、リール本体が1個、異なるラインを収納したスプールが2個。フライボックス(C&F社の防水のLサイズ。味はないし重いけど便利)が2個。これが主な持ち物。あとはフロータントとか水温計とかのアクセサリー類。ほかは軽くて大型のランディングネットくらい。That's it.
入渓してすぐの水温は10.5℃。相応のスポットを見てもライズなしというわけで、まずはニンフのセットアップで釣り上がりました。
少し釣ってわかったのですが、厳寒期に群れているようなプールにはマスの姿はすでになく、20cm以下の小型のマスですら川のあちこちに散らばっている感じ。ふつう低水温になると、マスはメタボリックレートの関係で大型しか釣れなくなっちゃうわけですが、もうその季節じゃないと。合点承知。途中ライズを2回見つけてセットアップを変えようか立ち止まりましたが、いずれも散発で続きませんでした。
たしかに、よく考えれば1kmほど下流に1台車があったのですが、どうも先行者がすでに釣った後らしく(そりゃ昼に入渓してるわけですからね)反応はいまひとつでした。
昼からのんびり3時間釣って、釣果は計43尾。うち40cm越えが3尾、最大が写真の48cmの1尾でした。早めだったけどこれにて納竿。懸案だった実験もできたし、あー、面白かった。人もいないし、春はいいなぁー。
数が釣れる人と釣れない人の違い。
いつもゲストに言ってることですが、その日のマスに合った釣り方をすれば数が釣れます。
釣れた尾数は、公約数的とはいえどその釣り方がマスにマッチしているかどうかの指標です。そして、小型のマスしかいない水域を除けば、釣ったマスの数、すなわち分母を増やすことができれば否が応でも大型が掛かってきます。これは自然なことです。
私の経験則からの”感覚的な”確率をいえば、1日に20cm以上のマスを100尾釣れば1〜3尾の50cm以上のマスはしぜんと混ざってくる感じです。そう、「オレは大型しかねらってないから小型は興味ない」みたいに大上段にかまえてなくても、ふつうに釣れるんですね。
また、セットフックしたマスの数が相対的に少ない人は、やりとりのスキルを磨くことができずランディングの技術はいつまでも洗練されません。キャッチレートも低い人のままです。小型のマスが釣れた時やりとりの途中でバレても気にもとめない人がいますが、これもスキルが低い証拠です。
「このフライでこのロッドで、こんなマスをこんなふうに釣りたい」的な自然やマスに自分の嗜好を押しつける釣りや、インターネット上の情報との答え合わせもいい。でも、目の前の自然にまっすぐ向き合って鑑みて、それにひたすら寄り添っていく釣りも楽しいですよ。フライフィッシングは自然遊びです。流行やスタイル、新製品や買い物や、SNSや情報集めが先ではなく、そこにある自然が先ですから。
釣り方でお悩みの方がいらっしゃったら、ポロシリのクリニックにお越しください。コンペティション譲りの技術は頼もしい杖になるはずです。
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