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Wading Staff

アングラーのための転ばぬ先の杖

 なくてもたいがい平気だけど、ごくまれに、唐突に切実に必要になるもの。そんな道具の一つが、ウエーディングスタッフです。

 足腰が弱くなってきたシニアアングラーのよき相棒であり、”だぶはん”遊びやる時の、まさに転ばぬ先の杖。ずいぶん長い間、もっていることすら忘れていたのですが、昨年久しぶりに本流でヒヤッとしたことがあって、納戸の奥から引っぱり出してきました。

 私のは、ニューヨーク州にあるTHE FOLSTAF COMPANY社のそれ、Folstaf。コルクのグリップは水に浮くし、シャフトはアルミ製で重さはそこそこ。強度は必要充分で、流れに押されて曲がることもない。畳んだ時の全長が短いため、ベルトホルスターへの収納時は本体がブラつくこともなく、歩く際も脚に接触せず快適。過去にはKUDO賞も受賞している。購うのは生涯でこれ1本だけになりそうな、釣り人のための杖です。

 フライフィッシングを始めた1980年代の、郷里熊本の『OUTHOUSE SUSUKI』さんの薄暗い店内を思い出す。入って右側に伸びるアパレル棚の、さらに奥の窓際にあった売れ残りの『FlyFisherman』や『Fly Rod & Reel』。そんな、当時はまだ珍しかったアメリカのフライ雑誌めくっても、OrvisやThomas & Thomasなど名だたるアメリカンメーカーのカタログ見ても、みーんなおんなじ。巻末の広告や、アクセサリーのページにのってる折りたたみ式のウエーディングスタッフといえば、決まってFolstafだった。

 使う前には、ジョイントのオス部分にパラフィンかロウソクを塗っておくこと。それだけで接続部の固着をかなり防ぐことができます。また、長期しまっておく時は、ショックコードを乾燥させてから”継いだ”状態で保管する。畳んだ状態で長い間放っておくと、コードに伸縮性がなくなってよろしくないのは、テントのそれと同じ。以上が、正調にして、同品を長く快適に使う秘訣であります。


 2018年の現在もメーカーは健在。現行品の写真は上のリンク先からご覧あれ。ファミリービジネスらしく、今もMade in U.S.A.みたいで素晴らしい。転ばぬ前に、いかが?

1970年代後期の『FlyFisherman』誌より。この後、ベルトホルスターは現在のマチのついた形に変わったみたい。創業して生産を始めたのは1970年代半ば、プロトタイプ誕生のきっかけはモンタナへの釣り旅だった。ニューヨーク州の真ん中あたり、シャーロットヴィル生まれ。
1970年代後期の『FlyFisherman』誌より。この後、ベルトホルスターは現在のマチのついた形に変わったみたい。創業して生産を始めたのは1970年代半ば、プロトタイプ誕生のきっかけはモンタナへの釣り旅だった。ニューヨーク州の真ん中あたり、シャーロットヴィル生まれ。